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現役販売員に聞く、大手ラグジュアリーブランド転職の裏側と面接のリアル

現役販売員に聞く、大手ラグジュアリーブランド転職の裏側と面接のリアル

ファッションを若者で加速させる
READY TO FASHION

ファッション業界で転職をした方に転職の背景や転職活動のポイントなどについて聞く、匿名インタビュー連載企画。今回は、アパレル業界でキャリアを積み、大手外資系ラグジュアリーブランドへ転職したOさんにお話を伺いました。

過去最高の売上を達成した直後に訪れたコロナ禍を経て、「今、大手ラグジュアリーに転職しないと機会を逃すと思った」と話す、Oさん。ラグジュアリーブランド間での転職に至った背景や、面接で評価された点など、ラグジュアリー業界の裏側に迫るリアルな声をお届けします。

これまでの販売経験は通用しなかった?ラグジュアリーで求められる接客力とは

──これまでのご経歴を教えてください。

専門学校を卒業し、ギャル系のアパレルブランドで販売員として働きました。その後、異業種である携帯会社の営業職に転職しましたが、再びアパレル業界に戻り、派遣社員としてコンサバ系の国内ブランドで約2年間、複数の店舗を経験しました。

その間にラグジュアリーブランドに派遣勤務を経験し、正社員登用も含めて約6年間働き、現在勤めている大手ラグジュアリーブランドに転職しました。

──営業職を経験した後、改めてアパレル業界に戻られたのはなぜだったんですか?

アパレルの販売で働いている友人が、おしゃれでキラキラして見えたという単純な理由でした(笑)。自分ももう一度そんな環境で働きたいと思ったんです。

そもそもギャルブランドで働いていた当時は、ファッション誌の全盛期で、カリスマ販売員が注目されていた時代。その時からファッションビルで働く店員さんへの憧れがやりがいになっていたのですが、20代半ばの若さもあり、自然とまたアパレル業界に惹かれていきました。

──アパレル業界に戻り、派遣社員としてさまざまな国内ブランドを経験する中で、ラグジュアリーブランドにシフトチェンジしたのはなぜだったんですか?

それまでは、同世代やお客様から憧れられる店員でいたいというマインドでした。ですが、20代後半に差し掛かって?分のキャリアを初めて真剣に考えるようになった時に、長く働ける会社でキャリアを築きたいという視点に変わっていったんです。

その時に浮かんだのが、年齢に関係なく活躍でき、福利厚生などの制度も整っているラグジュアリーブランドでした。ラグジュアリー業界で働くには、早い段階で業界に飛び込んでおいた方がいいなと。

──それで1社目のラグジュアリーブランドに入社されたんですね。

はい。たまたま派遣会社が紹介してくれたブランドに入社しました。前職の国内ブランドでは特に役職についていませんでしたし、ラグジュアリー業界は未経験だったので受かるのか不安だったのですが、運よく選考が通ったんです。

──派遣社員として2年間、正社員として4年間働かれたと。

ラグジュアリーブランドでは数字や結果が重視されるため、国内ブランドでの経験が活かされる場面はほとんどありませんでした。全く別の職種に就いたような感覚でしたね(笑)。客層はもちろん、所作や立ち振る舞い、言葉遣いに至るまで求められるレベルが全く違うので、自分の価値観が大きく変わりました。

それでも、ラグジュアリーブランドで働けてよかったと思っています。

──接客方法の変化に戸惑ったことは?

もちろん初めは動揺しました。それまでの接客は、「この新作かわいいですよね」といった、商材ベースの提案をしていました。でも、ラグジュアリーブランドでは扱う商品が10倍以上の価格帯になるぶん、「なぜこの商品が10万円の価値を持つのか」といった知識や背景の説明が求められます。あとは、日常的にラグジュアリーブランドで買い物する方にも納得感のある接客が求められたんです。

印象的だったのが、入社して間もない頃、先輩スタッフの接客を見ていた時のことでした。20代前半のお客様がご来店され、着ていたワンピースに合わせたカーディガンが気に入らなくなったという理由で、その場で20万円のカーディガンを購入し、その場でお召し着替えされて帰られました。

その光景を目の当たりにした時、「すごい世界に来てしまった」と衝撃を受けました。お客様の金銭感覚にカルチャーショックを感じたのもありますが、それ以上に印象に残ったのが先輩スタッフの上品な所作や接客トークです。自分がこれまでしてきた接客とは全く違っていて、「それ似合いますね」という接客では通用しないんだと実感しましたね。

──それまでとは違う接客を身につけるために、どんなことを意識されていたんですか?

100万円のコートを買うお客様のライフスタイルが想像できなかったので、パーソナルな会話を挟みながら、お客様にとっての当たり前を知るように努力をしました。

一度、自分自身の感覚をゼロにして、「この方はどんな買い物の仕方をされるのか」といった視点で向き合うことで、ラグジュアリーブランドならではの接客のコツを少しずつつかめていった気がします。

──日常とのギャップに押しつぶされることはなかったんですか?

押しつぶされるというより、普段の生活では見られない世界を覗いているようで、むしろワクワクする気持ちの方が大きかったです。新しい価値観に触れることが刺激になって、逆に頑張ろうと思うポイントになっていたと思いますね。

あとは、仕事とプライベートとしっかり分けるタイプだったこともあり、マインドのリセットができたんだと思います。

実際には、金銭感覚に影響されてブランド品を買いすぎてしまうスタッフも少なくないですが、私にとっては、未知の世界に踏み込む面白さの方が勝っていたので、それが前向きに働いていたのかもしれません。

前年の売り上げを越えられない。タイミングと勢いで踏み切った転職

──2社目のラグジュアリーブランドへの転職はどんなタイミングで意識し始めたんですか?

ラグジュアリー業界内で転職する人が多いので、キャリアアップの一環として当初から転職を見据えていました。もし実際に転職するなら、今のブランドよりも規模の大きい大手ブランドで働きたいと考えていましたね。

そこでの経験が自分の今後の可能性をより広げてくれるし、その会社が自分に合っていれば、安心して長く働き続けられるだろうという期待もありました。

──転職に踏み切ったきっかけは?

転職を決断したのは突然だったんです。当時30歳だった私は、キャリアが6年目になり、店舗では売り上げの主軸になりつつあった時期。特にその年は、年間の売り上げ成績が好調で手応えのある一年でした。

ただ翌年の2020年、新型コロナウイルスの流行により緊急事態宣言が発令され、約2ヶ月にわたって店舗の休業を余儀なくされました。

その影響で、今年の成績はどう頑張っても前年を越えられないという見立てになってしまったんです。当時は、まだ自粛ムードで来店数も少ない上に、感染対策で混雑を避けるために入店制限もしていたので、店舗にはお客様がほとんどいない状態で……。

地方への出張で売り上げを取ることもありましたが、やはり前年の自分の成績を更新するのは難しい。だったら、実績のある今のうちに転職した方がいいと思い、勢いで転職を決断したんです。

──勢いで。

このタイミングを逃したら、きっとあと数年は動けないと思ったので、秋頃から本格的に転職を意識しはじめて、冬には新しいブランドに転職していました。

──雇用が不安定になっていた企業も多かったコロナ禍での転職。不安はありませんでしたか?

人員削減も目の当たりにしてきたので、むしろ?さい会社にこのまま居続けることの方が不安でした。大手で働きたいという思いと、前年に売上実績を残せていたこと、さらに募集が出ていたことが全て重なって、今しかない!と感じたんです。

ラグジュアリーの面接では自己PRの内容が配属店舗へのカギ

──2社目のラグジュアリーブランドを受ける際、選考はどのように進みましたか?

書類審査と面接が2回ありました。転職エージェントを利用していたので、エージェントの方に履歴書や職務経歴書をチェックしてもらったり、面接でのアピールポイントや伝え方について一緒に戦略を練ってもらったりと、サポートを受けながら進めました。

──ラグジュアリー業界の面接で特に重視されていると感じるポイントはありましたか?

面接では、勤務していた店舗の全国での販売実績や、その店舗で自分がどのくらいの売り上げを担っていたかなど、売り上げに関しては重点的に聞かれましたね。それ以外にも、自分の強みについては深掘りされた印象です。

──自己PRではどんな強みをプッシュしたんですか?

前職では、バッグや財布などの小物よりも、洋服の売上比率が高い珍しいタイプのラグジュアリーブランドに勤めていました。そんなブランドの中で、自分のリテンション率(顧客維持率)の高さを強みとしてアピールしました。

──小物を売るのと洋服を売るのでは評価のされ方が違うんですね。

全く違いますね。現職でも言われることですが、季節の変わり目などにお客様が戻ってきてくださるので、洋服を売れる人は顧客数が多い傾向にあるんです。そういった点は評価されやすいポイントだと思います。

──洋服の商材を売るのが強みだったのは、先ほどもおっしゃっていたように富裕層の顧客の?銭感覚を自分に落とし込む、といった意識があったからですか?

それもありますが、前職には昭和世代のベテランが多く在籍していて、身だしなみや言葉遣い、さらには富裕層のお客様への立ち振る舞いを厳しく教え込まれたのも大きかったと思います。

例えば、「1泊50万円以上の高級ホテルに泊まれるような方は、高級ホテルと同じレベルのサービスを受けられることを当然として来店される」ということはよく言われていました。なので、そういった方々に失礼のないよう、特別感のある接客を心がけるようにしていました。

──なるほど。

実は、自己PRは配属先にも大きく影響するんです。

大手ブランドの場合、店舗数が多いため、中には小物しか扱っていない店舗や人通りが少ない店舗もあります。ただ、私は洋服やアクセサリー、靴などを幅広く取り扱う大型店舗で働きたいと思っていたんです。売り上げが見込めるのはそういった店舗ですし、これまでの自分の実績を活かせると思っていたので。

なので、洋服を取り扱う店舗に配属されたいという希望を伝えるためにも、自分の強みや実績をきちんとアピールするようにしました。結果として、実際に売り上げ規模の大きい百貨店の店舗に配属していただけました。

──アピールポイントがしっかり伝わったんですね。逆にもう少し対策しておけばよかったと感じたことはありましたか?

ブランドの歴史についての知識が浅かったですね。もちろん面接官によって重視するポイントは違うと思いますが、やはりブランドについての事前リサーチはやっておいて損はないと思いました。

──この転職を経て、働き?やマインドに変化はありましたか?

結婚や出産は考えていなかったのですが、転職してから約1年半で妊娠?出産を経験し、現在は時短勤務で復帰しています。

それまではキャリアを積み、自分のスキルやできることを増やしたい意識が強かったのですが、ライフスタイルが大きく変わったことで、今はキャリアアップというよりも自分の生活を主軸に、自分に合った働き方を見つけていきたいと考えています。

──最後に、ラグジュアリー業界やアパレル業界を目指されている方にメッセージをお願いします。

これまで働いてきたラグジュアリーブランドでは、50代の女性スタッフはもちろん、70代の店長と一緒に働いたこともありました。

実際にそのような方々が現場で活躍している姿を間近で見ることで、自分も長期的なキャリアを描ける可能性があると感じました。そういった意味でも、ラグジュアリーブランドは将来の選択肢が大きく広がる場所でもあるのではないでしょうか。

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三谷温紀(READY TO FASHION MAG 編集部)
2000年、埼玉県生まれ。青山学院大学文学部卒業後、インターンとして活動していた「READY TO FASHION」に新卒で入社。記事執筆やインタビュー取材などを行っている。ジェンダーやメンタルヘルスなどの社会問題にも興味関心があり、他媒体でも執筆活動中。韓国カルチャーをこよなく愛している。

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