「ブルガリ(BVLGARI)」が、日本最大規模の展覧会「ブルガリ カレイドス 色彩?文化?技巧」を国立新美術館で9月17日から12月15日まで開催する。ブルガリ?ヘリテージ?コレクションや個人コレクションから約350点のジュエリーや現代アート、ブルガリ?ヒストリカル?アーカイヴの資料を展示。心を震わせる美しいジュエリーに欠かせない「色彩」をテーマに、イタリアと日本の芸術的対話と創造性を融合させた展示空間を繰り広げる。そんな展覧会の様子を、見逃せないポイントとともに紹介する。
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目次
美しいジュエリー、そして人生に必要不可欠な「色彩」にフォーカス
同展は、ブルガリにとっても初のテーマである「色彩」にフォーカス。CEOのジャン-クリストフ?ババン(Jean-Christophe Babin)氏は、開催の経緯としてイタリアと日本が持つ芸術性やクラフトマンシップへの敬意という共通点を強調。「色は感情や対比を示し、私たちの心や魂に響く」と述べ、色彩がもつ豊かな表現力と人生に彩りを与える必要不可欠なものであるという精神的な意味合いを語った。
展覧会は国立新美術館の広大な空間を活かした展示設計と、現代作家の作品が織りなす多層的な表現によって構成。ババンCEOは「芸術、建築、ジュエリーの分野を横断したある種の“総合芸術”と言えるような空間が完成した。デジタルが盛んな現代で体験を重視する我々にとって、皆さんの協力を得てこうした空間が叶えられたことは、誉高い出来事。ぜひ体験していただきたい」と呼びかけた。

(左から)?ジスラン?オークレマンヌ(ブルガリ へリテージ キュレーター ディレクター)、宮島綾子(国立新美術館 主任研究員)、森万理子(本展出品アーティスト)、ジャン-クリストフ?ババン(ブルガリ グループ CEO)、逢坂惠理子 (国立新美術館長)SANAA 妹島和世、西沢立衛(建築家、本展会場デザイン)
Image by: FASHIONSNAP
日本とイタリアのデザインユニットが協働した展示空間
展示空間は、日本を代表する建築家ユニット「SANAA」と、イタリアのデザインユニット「フォルマファンタズマ」が協働。古代ローマの皇帝であるカラカラが造営したカラカラ浴場のモザイク画のパターンと、東京都の木であるイチョウの葉にインスパイアされたという。これらのモチーフを掛け合わせた反復パターンを空間構成の基盤にした。イチョウはブルガリのジュエリー「ディーヴァ ドリーム」などでも象られ、ブランドを象徴するモチーフでもある。
会場図を俯瞰すると、イチョウの葉のような曲線的なブロックが折り重なるようにして、有機的な自然のリズムを醸し出している。SANAAの西沢立衛氏は「アルミニウムの光の反射と、アクリルの透明性といった特性で、光と色の相互作用を通じて、空間全体でジュエリーの美しさが体験できると思う」と設計のこだわりを明かした。また妹島和世氏は「ジュエリーそのものの美しさだけでなく、鑑賞するために歩みを進めていくにつれ、美しさや光、色彩が増幅していくような仕組みを建築として考えた」と語った。
フォルマファンタズマは、ブルガリ?ヘリテージ?コレクションの数々のマスターピースのために、特別な独立型の展示ケースをデザイン。ローマをルーツとするメゾンのアイデンティティと、日本の優雅な美意識が溶け合い、ブルガリのクリエイティビティの真髄に迫る芸術を鑑賞者に訴えかける。
展覧会の幕開けは、古代ローマと日本を象徴する傑作から
色彩の美学の旅の始まりは、古代ローマと日本を象徴するモチーフが象られた2点の傑作から。一つは、イエローゴールドにラピスラズリ、オニキス、ダイヤモンドをあしらい、古代ローマ神殿のファサードを模した「『テンプル』ペーパーウェイト」(1977年頃制作)、もう一つは、イエローゴールドにマザーオブパール、多色のエナメル、ダイヤモンドをあしらった円形の「『富士山』ブローチ」(1972年頃制作)。両国に共通するクラフトマンシップの探究とディテールへのこだわり、長い間、美を愛し、追求してきたことを象徴している。

ちなみに、日本語版音声ガイドはブルガリ アンバサダーである山下智久が担当。芸術作品というべき数々の貴重なブルガリのジュエリーについて、その科学的?歴史的背景を紐解きながら、まばゆい色彩の世界へとナビゲートしてくれます。

<第1章>色彩が持つ、科学的な相互作用
展覧会は、「色彩の科学」「色彩の象徴性」「光のパワー」の3章で構成。ブルガリの芸術性の一つは、ジュエリーが持つ色彩豊かな側面を、宝石そのものが持つ輝きや色鮮やかさに加えて、卓越したカッティングや石の配置、地金の組み合わせによって引き出したこと。さまざまな色の宝石を大胆に組み合わせた革新的なジュエリーを生み出し、「色石の魔術師」と呼ばれるように。
第1章「色彩の科学」では、赤、黄色、青といった「原色」から始まり、緑、紫、オレンジなどのカラーをテーマに、ハイジュエラーの歴史的な作品の数々が登場する。
赤は希少なルビー、黄色は太陽のような輝きを彷彿とさせるイエローゴールドとダイヤモンドの組み合わせ、メゾンが好んで用いてきた青は、水のような深みのある輝きを秘めたサファイアを中心に紹介している。特に18個のサファイアをプラチナとダイヤモンドが引き立てるネックレスは、石の色調がすべて同じになるように厳選。透明感のある色石が調和した美しさを引き立てるこのジュエリーは、メゾンの真骨頂を表す作品の一つ。










現代においてメゾンを支持する顧客から最も愛される宝石の一つであるエメラルド。エリザベス?テイラーがかつて所有していたエメラルドのネックレスは、婚約者リチャード?バートンからの贈り物で結婚式で着用したもの。

ローマの夕焼けのような温かみを宿した「ブレスレット」(1940年頃制作)は、ゴールドとプラチナ、ダイヤモンドとシトリンのコンビネーション。大胆なファセットカットのストーンであつらえたこのブレスレットは、イタリア国外で初の展示となった。

<第2章>感情に語りかける色彩の意味
第2章「色彩の象徴性」では、色の文化的?象徴的な側面を深く掘り下げ、色彩の選択を通じてどのように意味や感情を伝えられるのかを考察していく。
メゾンのジュエリーには、イタリア語で「幸福」を意味する「アレーグラ」コレクションや、「2つの心」を意味する「ドッピオ クオーレ」など色彩と感情が結びつくような作品がいくつも上陸する。また、アイコニックなジュエリーの一つ「セルペンティ コレクション」は、色とりどりの蛇の鱗が、恐怖ではなく、それぞれの色に象徴される強さを描き出し、身につける人にパワーをもたらしてくれる。第2章の幕開けは、このセルペンティ コレクションから。



何にも染まらない、始まりの色としての「白」や、ジュエリーでは珍しい「黒」、そして燃えるようなエネルギーを宿す「赤」といった3色でそれぞれ彩られたセルペンティがお目見えする。古代ポンペイの洞窟壁画では、白、黒、赤がしばしば使われており、文化的伝統に根ざすブルガリが、これら3色を巧みに用いる意義が感じ取れる。
このセクションでの目玉は、プラチナ、ダイヤモンドに7つの壮麗なエメラルドをあしらった「セブン?ワンダーズ」と呼ばれる「ネックレス」(1961年頃制作)。イタリアの女優モニカ?ヴィッティやジーナ?ロロブリジーダといった著名人に愛用され、10年前にも東京で展示されたこのジュエリーが再び登場する。

そして、アジア圏の文明に根ざしたジェイド(翡翠)のコレクションも。ジェイドがヨーロッパで市民権を得るには時間がかかったが、ブルガリではローマ?コンドッティ通りの本店に早くから「ジェイド?ギャラリー」を設け、アジアのアンティークのジェイドを展示するなど、東洋の美の様式も寛容に受け入れたのだそう。それから、東洋と西洋の融合にインスピレーションを得て、ジェイドのジュエリーシリーズが誕生した。

<第3章>色彩の知覚を支える“光のパワー”にフォーカス
第3章「光のパワー」では、色を感知するために必要不可欠な光の役割に焦点を当てる。創業者のソティリオ?ブルガリは、銀細工士としてキャリアをスタートし、創業初期にはシルバーの精密な細工やゴールドの温かな輝きを引き出す装飾加工で高い評価を得た。シルバーやゴールドが持つ光を反射する特性を操り、ジュエリーの美しさをより引き立ててきたという歴史に触れることができる。



「カプラローラのパラッツォ ファルネーゼ 模型」(2012年)や、「サンタンジェロ城 模型」(2010年)といったイタリアを代表する建築のシルバーの模型は、メゾンの精巧な加工技術を裏付ける。
また、ヨーロッパのジュエラーではジュエリーの地金としてプラチナが主流だった時代に、ブルガリはイエローゴールドを採用。宝石を包み込む太陽のような温かな輝きが新たなトレンドになったという。






物語の締めくくりに見逃せないのが、唯一無二の傑作と称される「コンバーチブル?ソートワール=ブレスレット」(1969年頃)。イエローゴールドにセットされたアメシスト、ターコイズ、シトリン、ルビー、エメラルド、ダイヤモンドが互いを引き立てるような配色であしらわれ、万華鏡のように輝く。トップのハート型のメダイヨンは127カラットのエメラルドで圧倒的な存在感を放つ。また、このネックレスは熟練したクラフトマンシップによって、パーツを分解しブレスレットに変形が可能。裏面の造りを見ると、その意匠を確認できる。


色彩への思索を掻き立てる、現代アーティストとの作品たち
各章をつなぐように配された、同展に寄せられたアーティストの作品も必見。第1章と第2章の間には、ララ?ファヴァレット氏によるキネティックなインスタレーション「レベル5」が登場する。

ララ?ファヴァレット「レベル5」
酢液を施した鉄板をカスタム溶接して作られた曲線的な構造物に、本来の機能を失った14本の異なる色の洗車ブラシを配置。加速と減速を交互に繰り返しながら揺れ動くブラシは、相互作用しながら摩耗していく。動きと色彩の変容が、同展のテーマと呼応する。
第2章と第3章をつなぐのは、森万里子氏による新作の立体作品「ONOGORO STONE Ⅲ」。日本最古の書物「古事記」に語られる、イザナギとイザナミの創造神話に着想したという。宝石の輝きは「人間の魂の鏡」と捉え、精神的な次元において岩が七色に輝くイメージを現代的な素材で再解釈した。

森万里子「ONOGORO STONE Ⅲ」
展覧会のグランド?フィナーレを飾るのは、中山晃子氏による新作インスタレーション「ECHO」。シャーレの中で液滴が音の振動に反応して水面を漂い、消えていく束の間のシークエンスが空間に投影され、刻一刻と変化するみずみずしい色彩に触れることができる。
オープニングに豪華ゲストが来場
開催を祝うオープニングイベントでは、東京都知事 小池百合子氏や、駐日イタリア大使ジャンルイジ?ベネデッティ氏、ブルガリ アンバサダーのキム?ジウォン氏、チャン?ウォニョン氏、森星氏、山下智久氏のほか、中島健人氏、EXILE AKIRA氏、のん氏、井川遥氏、MIYAVI氏、桐谷美玲氏、大政絢氏、小雪氏、目黒蓮氏といったゲストが出席した。





山下智久
Image by: ブルガリ
最終更新日:
??「ブルガリ カレイドス 色彩?文化?技巧」
会期:2025年9月17日(水)?12月15日(月)
休館日:毎週火曜日 ※ただし9月23日(火?祝)は開館 9月24日(水)は休館
開館時間:10:00?18:00 ※毎週金?土曜日は20:00まで 入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室 2E
所在地:東京都港区六本木7-22-2
観覧料 :一般2300円 大学生1000円 高校生500円 (全て税込) ※中学生以下?障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料
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