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急成長する日本の香水市場に攻勢 コティジャパンが挑むダイレクトビジネスとは

急成長する日本の香水市場に攻勢 コティジャパンが挑むダイレクトビジネスとは

 近年のビューティ市場におけるフレグランスの成長は著しく、各社が力を入れる。コロナ禍という逆境がむしろ追い風となり、海外市場はもちろん、かつて“香水砂漠”と呼ばれた日本市場でも急成長をとげている。富士経済によれば、2024年度の国内市場規模は前年比15.0%増の575億円に達し、2年連続で2ケタ成長を記録している。

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 フレグランス大手コティ(COTY)は7月、この急成長する日本市場の消費者トレンドにスピーディかつ長期的に対応するため、ダイレクトビジネスモデルに踏み切った。これまでブルーベル?ジャパンが担っていた「バーバリー(BURBERRY)」や「カルバン クライン(CALVIN KLEIN)」、「クロエ(CHLOE)」、「グッチ(GUCCI)」などのライセンスフレグランス製品の輸入、販売を、コティジャパンが直接行う。世界的なビューティカンパニーが日本市場に見出した可能性と展望を、コティジャパンの山盛省作社長に聞いた。

■コティが手がけるブランド例:クロエ、バーバリー、カルバン クライン、ティファニー、ジルサンダー、アディダス、マーク ジェイコブス、エトロ、カイリーコスメティクス(日本未展開)など

山盛省作(コティジャパン合同会社 職務執行者社長)

山盛省作:コティジャパン合同会社 職務執行者社長
ロンドン大学を卒業後、コンサルティング会社に入社。さまざまな業界でマーケティングや営業、トレードマーケティングに従事し、ブランドの立ち上げやM&Aなど幅広い経験を積む。2023年7月1日にコティジャパンに入社し、同日から現職。

高価格帯好調とインバウンド需要でコロナ後も2ケタ成長が継続

──社長就任から2年ほどが経ちました。日本のフレグランス市場の動向をどのようにみていますか。

 私が着任する以前(2023年)から、フレグランス市場の盛り上がりは始まっていたと思います。コロナ禍には自宅での楽しみのひとつとして、ホームフレグランスを中心にフレグランスが注目されました。

 2023年の春頃から水際対策が緩和され、訪日外国人客が増加したことでインバウンドによる消費も加速しました。為替の影響もあり、引き続きインバウンド需要は高まっています。こうした背景から、市場として2ケタ成長を遂げてきました。直近ではやや鈍化しつつあるものの、依然として2ケタ成長を維持しており、さらなるポテンシャルも感じています。

──消費者のどのような変化に着目していますか?

 ウルトラプレミアムと我々がカテゴライズしている高価格帯のフレグランスへの注目が高まっていると感じています。これは当社だけでなく業界全体の傾向です。同時に、ニッチフレグランスも台頭し、専門店が増加しました。百貨店では若いお客さまが積極的に香りを試す姿が見られますし、麻布台ヒルズなどのショッピングモールにも売り場ができるなど、フレグランスを気軽に楽しめる場が広がっています。

 また、成長の軸にあるのは「自分の香りを探す」という消費者の動きでしょう。ヨーロッパだけでなく、中東や南米、アメリカで人気の香りが続々と日本に上陸し、選択肢が大幅に広がっています。かつては日本でなかなか根付かなかった濃厚な香りも、今では抵抗なく試す姿が見られます。これらのことから、フレグランスが一層身近な存在になっていると感じます。

──顧客の年齢層に変化はありますか。

 低価格帯から高価格帯まで、若年層に広く受け入れられています。試しながらじっくり選び、気に入ったものを身につけている印象です。

 また近年は香りのギフト需要も目覚ましい。10mL程度のミニサイズの香水セットはどのブランドでも好評です。自分で試すだけでなく、友人へのプレゼントの選択肢にもなっていますね。

──ひと昔前は、人ぞれぞれ好みがある香りをギフトにするのは難しい、という声が多かったですよね。

 ディフューザーやルームフレグランスのバリエーションが増えたことが、ギフト需要増加の後押しになったと思います。自分の香りを探す消費者にとって、今まで知らなかった香りを発見する楽しさを、ギフトを渡す相手にも味わってもらえることに魅力を感じているのではないでしょうか。

──コティの中で人気のブランドを教えてください。

 マスからウルトラプレミアムまで、さまざまなフレグランスが揃うブランドポートフォリオの豊かさはコティの強みです。その中でも「バーバリー(BURBERRY)」や「グッチ(GUCCI)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」が特に人気を集めています。

 バーバリーは「ゴッデス」が好調です。海外で人気に火がつき、日本でも支持を広げています。グッチは「グッチ フローラ」シリーズがいずれも人気。そして今年1月にローンチしたジル サンダーは、高価格帯かつ現在はブティックでの限定展開の「オルファクトリー シリーズ1」が、グローバル市場の中でも日本は良いスタートを切ることができました。ブランドの世界観を反映した香りが想像以上の高評価を得ています。すべての香りが好調ですが、特に「リーフ」の指名買いが目立ちます。また、10mLや8mLのミニチュアサイズをセットにし、すべての香りを楽しめるディスカバリーセットも好評です。

バーバリー ビューティ「バーバリーゴッデス オードパルファム」

Image by: コティジャパン

グッチ ビューティ「グッチ フローラ ゴージャス ガーデニア オードパルファム インテンス」

Image by: コティジャパン

ジル サンダー「リーフ オート?ハ?ルファム」

Image by: コティジャパン

販路の維持と拡大が第一ミッション 未上陸ブランドの日本導入も視野に

──日本市場のダイレクトビジネス化にあたり、どのような取り組みに注力しますか。

 これまでブルーベル?ジャパンの力を借りて、ブランドの認知と信頼を獲得し、ビジネスを成長させてきました。その上で我々が直接輸入、流通、販売へと舵を切ったのは、お客さまの声をリアルに受け止め、商品展開の充実やフレグランスとの接点を拓いていきたいと考えたためです。

 ここ数年バーバリーやグッチはメイクとともに百貨店への出店を強化してきましたが、同時にブルーベル?ジャパンによるマルチフレグランスカウンターでの取り扱いも継続しています。加えて2ブランドともに「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」にも進出。今後は現状の販路を維持しながらも、新たな販路の模索を続けます。オフラインとオンラインともにブランドを体験できる場を整えることがひとつのミッションです。タッチポイントを創出することで、美容部員がコミュニケーションを取り、香りの紹介にとどまらずブランドの歴史までお伝えできる大切な機会が生まれ、顧客のインサイトが蓄積されるのです。

 ほかにも「ティファニー(TIFFANY & Co.)」や「カルバン クライン(Calvin Klein)」「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS」など、コティには根強い人気ブランドがあります。まずはしっかりと展開していくことが重要でしょう。タイミングを見て、日本未上陸ブランドの輸入販売も検討していきたいです。

■コティが新たにライセンス契約を締結したブランド
?マルニ
?スワロフスキー
など

──たしかに未上陸ブランドを待ち望む声も多いと思います。「スワロフスキー(SWAROVSKI)」や「マルニ(MARNI)」とのライセンス契約の締結は話題になりました。

 我々も今後の展開を楽しみにしています。また、すでに日本で展開しているブランドにも、上陸していない香りがたくさんあります。このバリエーションの豊かさは、フレグランスハウスとして1904年に創業したコティならでは。フレグランスをコアビジネスとしてさらに強固にしていく方針です。

──ちなみに、クロエやティファニーなどでビューティ単独出店の可能性は?

 現在はマルチフレグランスカウンターでの展開がベースです。ダイレクトビジネスをスタートしてまだ1ヶ月ほどなので、これら既存の販路を大切にして、まずはそこでの精度を上げ、可能性を広げていきたいと考えています。

──運営体制の変更に際し、社内で強化している部門はありますか。

 輸入から販売までを担うにあたり、今まで以上に自社での精力的な活動を強化すべく人員を増やしています。お客さまと向き合う美容部員も教育中。組織規模は2年前は約30人でしたが、今では50人超に拡大しました。今後も各部門で人的投資を図り、体制を整えていきます。

ポートフォリオの豊かさを強みにフレグランスをビジネスの軸へ

──直近のミッションは?

 しっかりとした基盤を作るという意味で、販路の定着です。伊勢丹新宿店や阪急梅田本店ではマルチカウンターを展開していますが、こういった取り組みを増やしていきたいですね。市場の動きとしても、自分の香りを探すお客さまが増えている。単一ブランドではなく、複数のブランドを網羅することで、香りを探す体験を提供できるとともに、さまざまなニーズに応えられます。また、ブランドの体験ができる場を増やすことも重要です。嬉しいことに、各方面から出店のご相談を頂いているので、慎重に協議していきます。

──目下の基盤づくりに対して、長期的な展望はいかがでしょうか。

 今後、コティが有するブランドが日本に上陸することは間違いありません。日本でも人気のあるブランドが続々とポートフォリオに加わっています。まずは既存ブランドで基盤を作り、その上で新たなブランドを投入していきます。マスからウルトラプレミアムまでさまざまな価格帯、そして有名なブランドからニッチなブランドまで、幅広く展開していきます。

──市場の成長を見据えて、競合も増えてきています。改めてコティの強みとは?

 やはりフレグランスです。われわれが想像している以上にポートフォリオの豊かさを評価していただいていると認識しました。根強い人気を誇るフレグランスが多数ある一方で、新作においてもしっかりとしたモノ作りに励んでいます。この強さは間違いないでしょう。

 日本のビューティ市場は世界3位ともいわれるほどの規模感ながら、フレグランスが話題に上がることは稀でしたが、ここ5年で状況は一変しました。とはいえ、さらなる成熟に向けた道のりの最中。リテーラーによる導入ブランドの強化や、販路の拡大、新たなブランドの登場など、ますます盛り上がることでしょう。競合ではありますが、ともに盛り上げていくことも1つの鍵だと考えています。フレグランスが盛り上がれば、日本のビューティ市場もさらに拡大するのではないでしょうか。

──日本のフレグランス市場は明るそうですね。

 将来的には、各家庭にフレグランス専用の引き出しができるくらい、香りが日常生活に溶け込んでほしいですね。日本には香道など、古くから香りを愛でる文化があり、本来とても身近なもの。もっと積極的に生活の中で香りを楽しめるよう、盛り上げていきたいです。

最終更新日:

ビューティエディター?ライター

米山奈津美

Natsumi Yoneyama

ヘアサロン業界専門誌を発行する出版社1社を経て、2019年にINFASパブリケーションズに入社。「WWDビューティ」「WWDジャパン」編集部記者として、主にヘアサロン業界と国内コスメ、フェムテックの取材を担当する。現在はフリーランスのエディター?ライターとして活動中。

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