
Image by: FASHIONSNAP
「見た目も機能性も、どちらも妥協したくない」──そんな欲張りなアウトドアファンに向けて、リアルに使われている登山装備を深掘りする連載企画「登山グッズの中身を教えて」。第4回は、山と街をつなぐ独自の美意識で支持を集めるブランド「アンドワンダー(and wander)」のデザイナー森美穂子さん。現在はドイツに移住している森さん。年間を通して山に足を運び、ブランドのプロダクトデザインに反映させているという森さんが、実際に持ち歩いているバックパックの中身や、お気に入りの登山アイテムを一挙に公開。ウェア、ギア、小物のリアルな使用感から、登山へのこだわりと哲学が見えてくるはず。
目次
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森美穂子さんの登山プロフィール
登山歴:約15年
スタイル:デイハイク
登った山:八ヶ岳、北アルプス、ジョンミューアトレイル、ツールドモンブラン、ノルウェーのハルダンゲルヴィッダ国立公園など

森さんが登山を始めたのは、アンドワンダーを立ち上げる前のこと。およそ15年以上前、キャンプがそのきっかけでした。
「池内(アンドワンダーの共同デザイナー 池内啓太)や仲間に誘われて山梨や長野に車でキャンプに行き始めた」のが2006年頃。当時は遅くまで働くことも多く、休暇中に山や湖にテントを張り、食事やお酒を楽しみながらのんびり過ごす時間は特別だったそうです。
「それでも三泊もすると暇になってきちゃって。手持ち無沙汰になった私たちは、浄土平ビジターセンターの湿原散策コースを歩くことにしたんです。コースに入るとすぐに車の走る音などが消え、空気が変わり、空を写す沼と、ゆるやかな稜線に囲まれた景色に息を飲みました」(アンドワンダー 森美穂子)。
自然の中を歩く気持ちよさを知った森さんは、そのキャンプの帰り道に登山用品店に立ち寄り、装備を探しにいったといいます。
森さんが山歩きの魅力として挙げるのは、自然との繋がりを感じられる点です。
「山で川の水を飲めば、水がどこから来たのかを考えます。私の行動が『自然にどんなインパクトを与えるのか』を無視できなくなります。その繋がりが山に入るたびに少しずつ見えてくるのがとても面白いんです」(森)。
森美穂子さんの入山スタイルスナップ

名前:森美穂子
職業:ファッションデザイナー
インナー:and wander「ドライメッシュTシャツ」(2026年春夏コレクションに向けてサンプルテスト中)
パンツ:and wander「ナイロンタフタハイカーパンツ」
シューズ:HOKA
帽子:ヨセミテ国立公園のお土産ショップ
サングラス:FLOAT
現在はほぼ月1~2回のペースで山に出かけるという森さん。「とにかく高い山に登りたい」「行ったことのないところへ行きたい」という山へのモチベーションが高い時や、「あの山小屋にいるあの人に会いに行こう」「仲間と仲良く酒を飲みに行こう」といった“人に会いに行く”山歩き”をしていたことも。登山歴も長くなり、最近は「割と何でも良くなりました」と笑いながら教えてくれた森さん。最近はもっぱら、愛犬のブーと一緒に気軽に楽しめるハイキングを楽しんでいるそうです。「今夏はブーと共にノルウェーまでテントを持って歩く計画も立てている」と話してくれました。
自分自身の登山の経験からアンドワンダーのウェアをデザインしている森さんは、サンプルテストとして入山することもしばしば。アウトドアブランドにとって機能性、安全性は欠かせないものですが「シルエットやカッティングが美しいか」「顔色は綺麗に見えるか」など情緒的な視点からもアプローチしているのがアンドワンダーのプロダクトです。

オーストリア?チロル地方のツィラータール?アルプスにある歴史的な山小屋「ベルリーナヒュッテ(Berliner Hütte)」に登る、森さんとブー
登山バッグの中身

- 「アンドワンダー」のライトレインジャケット:薄手でベンチレーションがあり、雨はもちろん、寒い日も暑い日も対応できる着用範囲が広さがお気に入り。
- 「アンドワンダー」のレインパンツ:軽量で着脱が容易。靴を履いたままでも着脱できる実用性を担保しつつ、シルエットも美しいレインパンツ。いざという時のための安心装備ながら、デザイン性も抜かりなし。
- 「アークテリクス(ARC'TERYX)」のグローブ:立体的なフィット感が秀逸。無駄なダブつきがなく、行動中も快適。ミニマルながらしっかりとした作りで、山でも手元をスマートに保てる。
- アーティスト原藍子さんが作ったキャップ:山好きのアーティスト 原藍子さんによる一点物。作り手へのリスペクトと、自身の嗜好が詰まった愛用アイテム。アートの延長線上にある“山道具”。
- 「ペツル(PETZL)」のヘッドライト:夜明け前やトラブル時に備えて必携。安心感をくれる軽量ヘッドライト。
- 「フロート」のサングラス:ガイア(GAIA)というモデルを何年も愛用。偏光レンズで視界がクリア。眩しさや雪目対策にも欠かせない。アウトドアと都会の境界線を越えるようなデザインも魅力。
- 「アンドワンダー」のダウンジャケット:頭まで覆えるフード付きダウンは、軽くてコンパクト。天候の変化や標高差に対応しやすく、一枚あると安心。
- 携帯電話:地図アプリで現在地を確認。デイハイクでは紙地図を省略する合理的判断。
- ティッシュ、てぬぐい、リップ、ハンドクリーム:とにかく乾燥する山の空気。肌の保護と快適性のための必携セット。てぬぐいは軽くて多用途。
- 「ナルゲン(nalgene)」の水筒:定番アイテム。軽量で丈夫、水漏れの心配がなくストレスフリー。
- 「アンドワンダー」のシル デイパック(sil daypack):大きな開口部で荷物の出し入れがしやすく、両サイドのポケットも便利。日帰りの荷物をコンパクトにまとめられるサイズ感も◎。
- 「アンドワンダー」のシル ウエストバッグ(sil waist bag):同素材?同色で揃えて、機能と見た目の統一感を両立。大きすぎず、小回りの利く容量がちょうどいい。
- 「グラナイトギア(Granite Gear)」のポーチに入れた救急キット:予備のコンタクトレンズ、絆創膏、鎮痛薬など、自分に必要な“お守り的”セットを厳選。
- 犬用品:愛犬と歩く登山には欠かせないセット。トリーツ、うんち袋、ダニ取り器具、小さなシェラカップなど、コンパクトに携帯。
- 「アンドワンダー」のトレッキングポール:細かな長さ調整が可能なモデルをセレクト。歩行サポートとしての機能に加え、軽量性も考慮した一本。
森美穂子さんの必需品4選
一度、「この装備はいいな」と思ったらとことん愛用するそうで、同じギアを買い直すことが多く「あまり冒険しない性格なのかも」と森さん。中でも、アグレッシブなトラクションに定評がある「ホカ」のスピードゴートは何度も買い直しているそうです。
防寒に、防護に「グローブ」

ブランド:アークテリクス
アイテム名:ソフトシェルグローブ
価格:約?14,000
おすすめしたい人:手の感覚がなくなるから嫌だなと思ってる人へ

森さん
履き口部分がジャージー素材だった以前のスタイルから使っていて、これが3代目。指の動きにフィットする立体感が抜群で、細かな作業も負担なくできます。バックカントリースキーをする時にも使います。夏山では着用しておくと日焼け対策に、冷える時の防寒に、岩を掴む時に手を痛めずにすみます。
気分も上がる「偏光サングラス」

ブランド:フロート
アイテム名:偏光サングラス GAIA (廃盤)
価格:約?13,000
おすすめしたい人:アウトドア遊びする人、水遊び、雪遊びが好きな人

森さん
明るいフレーム色で気分が上がります。偏光グラスで軽量、フレームの変形を気にせず頭や首にかけられるのもポイントが高く、リーズナブルでタフに使えます。パーツ売りもあり、長く使えて気に入っていたのですが廃盤に。私は数年使ってレンズが傷み、同じ色形で2代目を愛用中。この色形で再販して欲しいです。
自信の一着「レインジャケット」

ブランド:アンドワンダー
アイテム名:ライトレインジャケット
価格:¥39,960
おすすめしたい人:登山、自転車、犬の散歩など、外にいる時間が長い人

森さん
超軽量の約215g。雨風を防ぐのはもちろんですが、この薄さでベンチレーションがあるものはなかなかないのでおすすめです。ウィンドブレーカーの代わりにもなるので、体温、湿度調整が効き、着用シーンはかなり広いはず。私は大きめのサイズを着ていて、夏はベンチレーションを開けて風を通し、冬は中にダウンを着てラップするように保温性を生かして着ています。ゴワゴワしない素材感だからできる技です。
愛犬とのデイハイクの必需品「ダニ取り」

ブランド名:O'tom
アイテム名:ティックツイスター(Tick Twister)
価格:約?1000円
おすすめしたい人:軽くて小さく負担にならないから全員におすすめ

森さん
ハイキング中に犬によくダニが付くので、持ち歩くようになりました。人犬兼用です。登山中にダニに噛まれた友人がたまにいます。無理に取ろうとすると、ダニの頭が皮膚の中に残るから危ないそうです。保険として持ち歩くのがおすすめ。
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