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高級モールは世代交代?ジャカルタのアシュタはなぜ成功したのか|コラム-ジャラン ジャラン アジア

Ashta

Image by: 横堀良男

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高級モールは世代交代?ジャカルタのアシュタはなぜ成功したのか|コラム-ジャラン ジャラン アジア

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東南アジアの最新情報を綴るコラム「ジャラン ジャラン アジア」。1年間の3分の2以上を東南アジア諸国で過ごし、契約バイヤーのほか、ポップアップショップ、展示会出展、ファッションショーの代理店などを行う横堀良男氏が現地の情報をレポートします。

(文?横堀良男)

 世界各国でようやくコロナも終息に向かっているように見えます。まあ、終息というより、共存に近いかもしれないですね。

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 コロナによって日本からアジア各国に出張者が来られなくなり、シンガポールやタイ、インドネシアで行うはずだったプロジェクトは全て保留に。ほとんどがそのまま立ち消えになりました。あの予算たちは何処へ!

 コロナ禍で誰もが海外出張は難しかったと思います。コロナ前に年間で160本のフライトに乗っていた私はというと、シンガポールやタイ、フィリピンに行くことが難しくなりました。契約先のショップやモールなどへも、そもそもお店が営業してなかったりで売り場を見ることができず、仕事が進まないことも多かったです。

コロナ禍の移動時の空港は見たこともない景色でした。

 私はインドネシアのビジネスビザを持っているので、インドネシアには出入国できました。2020年はほとんど移動できませんでしたが、2021年からは東京とジャカルタを2?3ヶ月ごとに往復しています。日本もインドネシアも、毎度入国時に自主隔離やホテル隔離があったため、なるべく長めの期間で渡航していました。

 インドネシアの首都?ジャカルタでは、何度かロックダウンが行われ、外出禁止になった時期もありました。インドネシアのロックダウンは、ほぼ強制的に外出禁止です。ロックダウンが解除されても、ワクチンが普及するまでショッピングモールやレストランなどは大きな打撃を受けました。

 そんな、小売業にとっても超ハードモードのコロナ禍のジャカルタに新しいショッピングモールが開業しました。

 もともとジャカルタはショッピングモール文化です。日本のように電車が張り巡らされてないため、基本的に移動は車かバイク。主に自家用車、タクシー、路線バス、バイクタクシーの4つです。そのため、"買い物に行く=駐車場どうする?"といった問題が発生することからショッピングモールが盛んなのです。

 ジャカルタのショッピングモールはそれぞれ特性があり、価格帯で分かれていることもあります。「ジャカルタ高級4大モール」と呼ばれる高級モールには1階にハイブランドがぎっしり並び、お客さんもそういったブランドを好む客層です。そんな中、この高級モール合戦に新しい風を呼び込み、トップに躍り出たショッピングモールがあります。

 それが突如現れた「アシュタ(Ashta)」です。ジャカルタの感度の高い人は誰もが「今はアシュタだよね!」と口にします。

 高級ビジネス?住宅圏である南ジャカルタエリアに位置し、その中でも新しく開発されたディストリクト8(District 8)という区画の中にできた高級モールで、とにかくオシャレ。でも、高級モールに必須とされていたハイブランドがあるわけではなく、インドネシア初出店のベーカリーカフェや、今をときめく企業の新業態レストランなどが並んでいるんです。

 このアシュタは、テナント誘致の際に世界的に有名かどうかよりも、新しいかどうかを優先しているように見えます。ラグジュアリーのマウンティング社会とも言えるジャカルタに、アシュタという新しい風が吹き込んできたのです。オープン直後はそんなに人は多くなかったものの、今では毎日のように新業態やインドネシア初進出のお店の前にお客さんがずらりと列をなしています。

 行くと大体混んでいる1階のテナントはココです。

?「メゾン キツネ(Maison Kitsuné)」

?「カフェ キツネ(Café Kitsuné)」

?「アラビカ京都(% Arabica Kyoto)」

?「ベーカーマン(Bakerman)」

?「アーツ&サイエンス(ARTS&SCIENCE)」

?「Bartisserie」

?「Common Grounds GROUND ZERO」

?「Paris Baguette」

 今、ジャカルタに来たら絶対に行かなくてはならないスポットでしょう。コロナ真っ只中の2021年4月に撮影した動画がありますので、ご覧ください。

この動画は2021年4月に撮影しました。

 コロナ禍という不運なタイミングに開業したショッピングモールがなぜこんなにも成功したのでしょうか?しかも、インドネシアでマウンティングするには最も重要なハイブランドの出店が1つもないのに。私はジャカルタの高級モール合戦で、「世代交代が始まったんだ!」と分析しています。

<今までの高級モール>

誰もが知ってるハイブランド

飲食も世界的なチェーン店

ストリートファッションもいかに有名かが重要

自分が満足するファッションより、人に魅せるファッション

<これからの高級モール>

大きく流行る前の、みんなより少し早い新しいブランド

ここにしかない特別な飲食店

今のジャカルタのトレンドにあったファッション

人に魅せるファッションよりも、私のための新しいファッション

 世界的なハイブランド信仰はまだまだ続くでしょうが、新しい若手ブランドやベンチャー企業にもチャンスがどんどん回ってきます。もともとインドネシアは平均年齢が29歳と若い市場です。既得権益が日本ほど多くないインドネシアの小売業界は世代交代のタイミングを迎えていると言えるのではないでしょうか。

 これから始まるファッション大航海時代!日本の若手ブランドやベンチャー企業はジャカルタに舵を切ってみるのも良いかもしれません。

最終更新日:

横堀良男

Yokobori Yoshio

東京都江東区出身。高校在学中からアパレル業界で働き始め、 その後、アッシュ?ペー?フランス株式会社に入社。27歳で若手ブランドの営業代行業、showroom SIDEを設立、代表に就任。?32歳で海外進出、現在は1年間の3分の2以上を東南アジア諸国で過ごし、契約バイヤーとして活動。 日本からアジア?アジアから日本のポップアップショップ、展示会出展、ファッションショーの代理店も行う。

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