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【連載】写真家オカダキサラによる「歳時キサラ」?2023年1月?

Image by: Kisara Okada

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【連載】写真家オカダキサラによる「歳時キサラ」?2023年1月?

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 東京の街を舞台に、どこか既視感がある日常ながらも物憂げで時には思わずクスッと笑ってしまうスナップ写真を撮るオカダキサラ。そんなオカダによる連載「歳時キサラ」。独自の観察眼で切り取られたその季節ならではの4枚の写真を、それぞれに付随するタイトル&テキストと共にお届け。新年を迎えた1月の東京。オカダがついついシャッターを切りたくなったのはどんな瞬間?

さいじ‐き【歳時記】
1,一年12ヵ月、または季節に分かち折々の自然?人事などを記した書物。
2,俳句の季語を集めて分類?整理し、解説や例句を載せた書物

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「新しい1日のままで」

冬の朝日は寝心地のいい布団から現実へと引きずり出す、憎たらしいヤツだ。
だけど日付が1月1日だというだけで、印象がまるで変わる。暗い空が太陽の光に徐々に染められていく様子に、寒さも忘れて見入ってしまう。
なんてキレイなんだろう。
あんなに憎んでいた新しい1日は、とんでもなく美しいのだと知る。
できれば、こんな幸せな気持ちのまま毎日を迎えたいのだが、休み明けとともに、あっけなく散ってしまう。

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「期待と予感」

富士山全体がハッキリ見える日にはなかなか出会えない。
今日こそは、と思ったが、片峰が雲に隠れてしまっていた。残念。
カップルが湖畔でお湯を沸かしていた。
枯れ草や枝を燃料にモクモクあがる煙。
「初めてなので上手くいかないかも…」
インスタントスープを作る予定らしい。
失敗したとしてもきっとおいしいだろう。
ふたりで作ったのだから。
富士山への期待は外れたけど、この予感は的中したはずだ。

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「気まぐれかイタズラか」

東京国際フォーラムには、毎年十二支のぬいぐるみがツリー状に飾られる。
そのうち何体かは中に動く装置が入っているらしく、揺れる様子がまた可愛い。
愛らしい佇まいのうさぎたちの中、ひとつだけ異様な子がいた。
能面を被っている。
スタッフさんの気まぐれなのか、通りすがりの人のイタズラなのか……。
仕掛け付きの子で、仮面を被って上下するウサギは、踊っているようにも、荒ぶっているようにも見えた。

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「すっぽり」

チワワは寒さが苦手なのだと、飼い主さんが教えてくれた。コートにすっぽり入ってリラックスしているチワワたち。
抱えている飼い主さんも温かいだろう。
私もほっこりした。
成長するにつれ、体まるごと抱っこされる機会は少なくなっていく。
時々、赤ちゃんのように誰かの体温に包まれたくなるが、オトナになってしまった今、少なくとも身幅1.5メートル、胸囲3メートル以上の懐が必要らしいことが分かり、冷静になった。

写真家

オカダキサラ

Okada Kisara

1988年東京生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。大学在学中に東京をテーマにストリートスナップを撮り始める。忘れられてしまうばかりの瞬間には、毎日の見方を変える不思議な仕掛けが隠されているのではないか。そんな思いで街にレンズを向け続けている。第4回1_WALLファイナリスト、2015年度ユーナ21入選、2016年度コニカミノルタフォトプレミオ入選。
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最終更新日:

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