
Image by: FASHIONSNAP

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歴史的な背景を持つ、ヴィンテージ古着。製造された年代が古いものや希少性が高いものが一般的に珍重されていますが、ヴィンテージの楽しみ方はそれだけではありません。この連載では、さまざまな視点でヴィンテージ古着の楽しみ方が味わえるアイテムを、国内最大規模のヴィンテージの祭典を主催するVCM代表 十倍直昭が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に紹介。第77回は「ショット(Schott)」ダブルライダース編。
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2008年よりヴィンテージショップを運営。その後2021年には、ヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、来場者を1万人以上を動員する、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。
また渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」、エルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLERY」を運営。
2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。
ライダースジャケットが「ワル」の象徴になったワケ
ライダースジャケットと言えばショット、というイメージをお持ちの方も多いでしょう。ショットはアーヴィン?ショット(Irving Schott )とジャック?ショット(Jack Schott)の兄弟が1913年にニューヨークで創業しました。革新的だったのは、1928年に初めてジッパーで開閉するライダースジャケットをつくったこと。それまではボタンで開閉するライダースジャケットしかなかったのです。

ライダースジャケットと言えば、オートバイですよね。オートバイが量産され始めたのが19世紀終盤のこと。そして、その後に訪れた2度の世界大戦で軍需が拡大したため、技術面や生産面で大きく進化を遂げました。当時、アメリカ軍用のオートバイを製造していたメーカーのひとつが、オートバイメーカーの代名詞的存在である「ハーレーダビッドソン(Harley-Davidson)」です。第二次世界大戦終結後は、余剰軍用車が民生転用されたことに加え、それまでよりも廉価な商品が増えたために、オートバイを利用する人が増大。それに比例して、ライダースジャケットのニーズも拡大していきました。
ライダースジャケット=ワルな男の服、という印象を持っている人も多いと思いますが、それを決定づけたのがハリウッドの名優 マーロン?ブランド(Marlon Brando)です。暴走族を取り扱った米国初の映画である「乱暴者」(1953年公開)で、主役である暴走族のリーダーを演じたブランドは、その類まれなる存在感から一躍ユースカルチャーのアイコン的存在になり、劇中で着用していたライダースジャケットはワルを象徴するアイテムになりました。ちなみに、「乱暴者」でマーロン?ブランドが着用していたライダースジャケットはショットのものではなく、「デュラブル(DURABLE)」社のものだと言われています(笑)。
ライダースジャケットの王道「613」の魅力
今回は2つのショットのライダースジャケットをピックアップしました。この「613」というモデルは1960年代のもの。613はショットのライダースジャケットの王道であり、フラッグシップシリーズである「ワンスター」のひとつで、「サボテンタグ」と呼ばれるタグがつけられています。この個体は、キングサイズと呼ばれるサイズ50。ここまで大きなものはかなり希少です。





八角形のバックルが特徴
こちらは613よりも後の1970年代に製造された「618」というモデル。こちらは「牛タグ」と呼ばれるタグが付いています。613と比べてタイトで着丈が長いシルエットに変更されています。





613も618もパッと見は、ほとんど同じライダースジャケットに見えますが、使われているジップやボタン、スタッズなどが違っていたりと、細かく比べるとディテールに差異がたくさんあります。




裾裏の生地は60年代(上)が合皮、70年代(下)が本革になる
ライダースジャケットは上述したバイカー以外にも、ロックやパンクなどのユースカルチャーとの関係が強いアイテムなので、「いつかは着てみたい」と考えている方も少なくないのではないでしょうか。ヴィンテージの平均的な相場は、613が8?30万円、618が5?22万円ほどですが、復刻版も出ていますし、年代や状態にこだわらなければ、かなり低価格で手に入れられることもあります。ハードルが高そうなアイテムですが、着てみると意外とすんなりと馴染むので、機会があれば是非チャレンジしてみてください。
編集:山田耕史 語り:十倍直昭
最終更新日:
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