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スノーピーク山井会長、水口社長が語る“バディ経営”の手応え 中国は100%子会社で仕切り直し

山井太スノーピーク会長執行役員と、水口貴文 社長執行役員のポートレート

山井太スノーピーク会長執行役員(左)と、水口貴文 社長執行役員

Image by: FASHIONSNAP

山井太スノーピーク会長執行役員と、水口貴文 社長執行役員のポートレート

山井太スノーピーク会長執行役員(左)と、水口貴文 社長執行役員

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山井太スノーピーク会長執行役員と、水口貴文 社長執行役員のポートレート

山井太スノーピーク会長執行役員(左)と、水口貴文 社長執行役員

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 スノーピークの社長に、ルイ?ヴィトン ジャパンやスターバックス コーヒー ジャパン出身の水口貴文氏が就任したのが2025年10月1日のこと。以来、創業家のカリスマである山井太 会長執行役員との“バディ経営”体制を敷く。2025年12月期は売上高が前期比約17%増の241億円で着地し、EBITDA(利払い?税引?償却前利益)は前期のほぼゼロから32億円まで回復した。キャンプ市場失速が騒がれた2024年に、米ベインキャピタルと組んでMBOによる非上場化を選択。2年かけて進めてきた在庫処理やコスト削減に手応えを得て、水口社長の就任会見時に山井会長が「キャンプ復活」を高らかに宣言していたのは記憶に新しい。バディの2人に、今後の成長戦略やその進捗を聞いた。

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アパレル売上比率25%、3年後に100億円へ

「スノーピーク」2026年春夏展示会でのアパレルコーナーの画像
「スノーピーク」2026年春夏展示会でのアパレルコーナーの画像
「スノーピーク」2026年春夏展示会でのアパレルコーナーの画像
「スノーピーク」2026年春夏展示会でのアパレルコーナーの画像

「スノーピーク」2026年春夏展示会でのアパレルコーナー

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??2025年9月の水口社長の就任会見で、ブランドへの入り口としてのアパレル事業や、グローバル展開の強化を今後の成長戦略として発表していました。

水口貴文スノーピーク社長執行役員(以下、水口):アパレルは現在、当社の事業を最もけん引するカテゴリーになっています。今後の成長ドライバーです。

山井太スノーピーク会長執行役員(以下、山井):2025年12月期の売上高241億円のうち、60億円ほどをアパレル事業が占めています。全体に占めるアパレル比率は約25%と、上がってきています。

水口:ここからは、強みであるキャンプギアとアパレル製品とで、より明確な関連性を作っていきたい。「スノーピークにしか作れないアパレル」を目指し、今改善を重ねている最中です。徐々にエッジは立っていくと思います。土台ができれば、アパレルの売上高は更に伸びる。アパレル事業で3年後に100億円を掲げており、まずはそれを目指したい。海外売り上げも伸びていく中ですから、100億円は手堅い数字だと思っています。

??「スノーピークにしか作れないアパレル」の輪郭を、もう少し具体的に教えてください。

水口:キャンプで必要とされる着る人の身を守る機能性を、日常的なアパレル製品にどう転用していくか。たき火に対応する難燃性や防虫などの、キャンプで培った機能性の部分を、もっと強く生かしていきたいと考えています。

山井:スノーピークは四季の中で、秋冬の商売が圧倒的に強い。気温の高い春夏は割とどんな製品でもキャンプはできますが、マイナス20℃もあり得る冬の天候下でもキャンプができるスペックを全ての製品で提供できているメーカーは、当社の他にそうはありません。マイナス20℃下でも着られるアパレルというのは、スノーピークのアパレルのフラッグシップの1つになっていく可能性はありますね。

水口:マイナス20℃下でも過ごせて、なおかつ我々はキャンプのブランドなので、快適に過ごせる衣服という点も重要です。そこは登山のブランドとは異なるポジショニングになります。そんなふうに、スノーピーク独自の領域やポジションをアパレルにおいて実現していきます。2026-27年秋冬物を目処に、「スノーピークにしか作れないアパレル」の完成形に持っていきたい。2026年春夏物でも、これまでとの変化はかなり感じていただけると思います。

??もう一つの成長軸、グローバル展開についてもお聞きします。中国事業は、2022年に現地企業のCITICグループなどと合弁会社を設立していましたが、2026年1月に100%子会社体制となりました。

水口:中国では、ブランドイメージを再構築するフェーズに入っています。2026年は、まず3月に広州に店舗をオープンする。年間では、キャンプフィールドを含めて中国で9店舗ほどのオープンを見込んでいます。当社として大きな一歩です。

山井:100%子会社体制になって、中国事業は巻き直しです。合弁会社体制下では、現地企業側のスピード感で、代理商に任せる形で出店を重ねていきました。ピーク時で約25店を運営していましたが、キャンプの文化を高めながら、販売員もちゃんとキャンプをする人を育てて永続的にビジネスをしていくためには、やはり自分たちでやるべきと仕切り直しました。自分たちで事業を進めないと、スタッフもお客さんもキャンパーは作れません。

キャンプ文脈では「米国はブルーオーシャン」

スノーピークが米ロングビーチにキャンプフィールドをオープンする際に使用していたイメージヴィジュアル

スノーピークが米ロングビーチにキャンプフィールドをオープンする際に使用していたイメージ

Image by: Snow Peak

??中国市場ではラグジュアリー企業は市況悪化で苦戦していますが、国によるアウトドア産業振興策も追い風となり、アウトドア企業は伸び続けています。

水口:当社も、中国でのビジネスがうまくいっていなかったから仕切り直すというわけではありません。ただ、長い目で見て中国でキャンプをしっかりと文化として定着させていくためには、資本を投下し、きちんとしたお店を作って、接客も含めてブランドを表現していくべきだと判断しました。この体制変更は山井の大局的な判断によるものですが、実際に店を作っていく段階では、1店1店の計画を私が見ています。前職でのブランドビジネスの経験も生かして進めています。

山井:ブランド志向の強い中国において、スノーピークはお客さまが手に入れたいと感じるブランドの中に入っています。グローバル戦略では中国と、あとは人口が多くキャンプ参加率48%とも言われるアメリカが本丸ですね。

??アメリカ市場は競合となるアウトドア企業も多いです。

山井:確かにアウトドア企業は多いですが、キャンプの文脈ではあまり競合になる企業は存在しないと思っています。2024年に、ワシントン州のロングビーチにアメリカ初となる直営キャンプフィールドをオープンしました。その売上高は2025年12月期で約4億円です。日本で最も規模の大きな直営キャンプフィールドの売上高が年間1億5000万円ほどなので、世界一の売り上げはロングビーチ。アメリカには、清潔でおしゃれな日本のようなキャンプ場があまりないため、マーケットを独占できると思います。

水口:アメリカのキャンプは、あくまで移動のための手段なんですよね。キャンプそのものにはあまり重きが置かれておらず、キャンプ場の環境もそれほど良くないケースがほとんど。そういう意味で、アメリカで新しい市場を作っている感覚です。見たことのないキャンプ体験やキャンプ場を作って、それをそのままの形で伝えていけば、アメリカはブルーオーシャンだと思っています。大きな国なので、ロングビーチのやり方をそのままきっちり横展開していく必要がありますが、まずはロングビーチのある西海岸で認知を上げて、新しい局面に入っていく。一旦そこに到達すれば、アメリカでのビジネスは大きく伸びると展望しています。

山井:今、アメリカにはロングビーチのキャンプフィールドに加え、ワシントン州と隣接するオレゴン州のポートランドと、ニューヨークのブルックリンに店舗がある。2026年4月には、アメリカでの4拠点目としてワシントン州のシアトルにも出店します。オレゴン州とワシントン州でドミナント戦略を進めることで、認知向上を狙います。それがうまくいったら、同じことをカリフォルニアやニューヨーク、デンバーでやるといったように選択肢が広がっていく。かつてはアウトドア専門店のREIなどへの卸をアメリカ事業の中心としていました。今後も卸は続けると思いますが、やはり注力するのはECも含む直販チャネルです。リテールとキャンプフィールドとECで全米を攻めていく。ECで顧客データも取れているので、直営店の出店エリアを考える際の参考にもできます。

??2025年9月時点では、2025年12月期の売上高を250億円見込みとしていました。実際は241億円での着地となりました。

山井:2024年、2025年とかなりのコストダウンを続け、それでいて2025年は売上高も前期に対し約17%伸ばすことができました。経費をあれだけ絞って17%も売り上げを伸ばすというのは、かなり難しい。ブレーキを踏みながらアクセルを踏んでいるような1年でしたが、2025年はうまく経営できたと感じています。

水口:2025年12月期は、利益については9月に発表した想定通りで着地しており、我々としては順調に進んだ1年でした。回復を実感しています。2026年12月期は、売上高で270億円を見込んでいます。

国内は都市公園にもキャンプ場をオープン

「こどもピーク」の発表会見に登壇した山井会長、水口社長とイモトさん

??直近では、キャンプの体験を通して子どもたちの感性を育てる新プロジェクト、「こどもピーク」を発表しました

水口:社長就任以来、自社が開催するキャンプイベントに何度も行きましたが、キャンプ場で出会う子どもたちは本当に生き生きとしている。それがキャンプの効果によるものだとは現時点では科学的に証明できていませんが、間違いないんじゃないかと感じています。もともと、山井と2人で「子ども向けの事業にも注力したい」という話は何度もしていましたが、僕の社長就任時の優先事項にはそれは入れていませんでした。でも、実際に目を輝かせた子どもたちとキャンプ場で会う中で、「これは今すぐやるべき」と考えが変わった。それで、就任後3ヶ月ぐらいのタイミングで子ども向けの事業をしたいと僕から山井に伝えました。

 こどもピークでマーケットが広がれば、日本では約6%と言われるキャンプの参加人口を、ゆくゆくは7~8%へと押し上げていくことになると思います。でも、それはあくまで結果です。事業拡大が目的ではなく、キャンプ場で純粋に「この子たちは元気でいいなぁ」と思ったことが軸。スノーピークは、ビジネスをしていく中で社会的な意義も満たしていくということをずっと行ってきた会社。こどもピークも、子どもの未来を豊かにしながら、結果的に商売になるというのが、非常に当社らしいと感じています。

山井:具体的にプロジェクトをどう進めるべきかと水口と話す中で、タレントのイモトアヤコさんを起用することになりました。お金でタレントを雇うことが嫌で、スノーピークではこれまで、国内で販促のために誰かを起用したことはありません。でも、彼女はもともとスノーピークのユーザーであり、ウソがない。お子さんをきっかけに、世の中の親御さんに「よし、キャンプに行ってみよう」と思ってもらうためには、自社の力だけでなく、イモトさんのように誰もが知っている方の力も借りるべきと考えました。

??キャンプの間口を広げるという意味では、3月に佐賀?吉野ヶ里にキャンプ場をオープンします。国内13ヶ所目のキャンプ場ですが、都市公園内は初。今後は都市の近くにキャンプ場を増やし、キャンプをより身近にしていくのでしょうか?

山井:従来はキャンプ場というと、山や海、川といった自然の中が多かった。ただ、都市公園内の吉野ヶ里を見て、他の自治体でも同様の動きは広がるかもしれません。

水口:それぞれの立地に良さがあります。吉野ヶ里と同様に、今春オープンする群馬?赤城のキャンプフィールドは標高1300メートルほどあります。そうした場所は夏でも涼しいなど、その立地ならではの魅力がある。多様な選択肢があるということが大切であり、その考えの中で行きやすい場所にももう少しキャンプ場を作っていきたいという考えはあります。

最終更新日:

FASHIONSNAP ディレクター

五十君花実

Hanami Isogimi

1983年愛知県出身、早稲田大学政治経済学部卒。繊研新聞記者、WWDJAPAN副編集長、編集委員を経て、25年10月から現職。山スキー、登山、ラン、SUPを愛するアウトドア派。ビジネスからクリエイション、ライフスタイルまで、多様な切り口でファッションを取材。音声、動画、コミュニティーなど、活字以外のアウトプットも模索中。

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