
Image by: FASHIONSNAP
AIが急速に進化するこの時代。便利になる一方で、ネット上にはびこる問題は日々深刻化している。ボットによるコンサートチケットや限定商品の買い占め、ディープフェイクを使った“なりすまし”、複数アカウントによる偽レビューの書き込み……誰が本物の人間かわからないネット社会において急務とされているのが、“リアルな人間であること”の証明だ。その解決策として注目を集めているのが、「World ID」。この革新的なデジタルIDを活用した世界初のポップアップイべントが、6月7日と8日の2日間、渋谷で開催された。
?????World IDとは??????
OpenAI CEOのサム?アルトマン氏と、Tools for Humanity?CEOのアレックス?ブラニア氏が手掛けるWorld。その中核をなす「World ID」は、個人情報を一切開示せずに唯一無二の人間であることをオンラインで証明できるため、プライバシーや匿名性を保護しながら、複数アカウントや不正アクセスを防ぐことができる。登録は匿名性を保っているため安全で、2023年のローンチ以降、すでに1200万人以上が認証済みのWorld IDを取得。アプリユーザーは全世界で2500万人を突破している。
遊び心とテクノロジーが交差する、1人1回限りのガチャ体験


イベントを象徴するビッグサイズのWorld Bagを冠した、特大ガチャマシン。
渋谷?北谷公園に突如出現した巨大ガチャマシン「World Gacha」。高さ約3mにも及ぶ特大マシンの中には、豪華景品が当たるカプセルがぎっしりとスタンバイ。最新テクノロジーを体験しながら希少なガチャ体験を楽しめるとあって、会場には二日間ともイベント開始前から長蛇の列ができ、その注目度の高さがうかがえる。スタートと同時にガチャマシンのベールが外されると、来場者からは歓声と拍手が沸き上がり、会場のボルテージも急上昇。初夏の陽射しが照りつけるなか、あふれる熱気とともにイベントは幕を開けた。

(左)マットな白のデザインは最新バージョン。(右上)アプリで取得したQRコードを、Orbにかざす秋場郁雄さん。(右下)QRコードがスキャンされたら、Orbを見つめているだけで認証は完了。「技術の進化を感じました」と語る草刈麻有さん。
ガチャの参加資格はただ1つ、“人間であること”の証明。そこで使われるのが「World ID」で、取得方法は至ってシンプル。「Orb」という最先端のカメラデバイスをのぞき込むだけで、顔や虹彩の画像を用いて「まだ登録されていない唯一無二の、実在する生きた人間」であることを確認。この人間認証プロセスは、わずか3分程度で完了する。
手順は実に手軽でありながら、信頼性は確実。例えば従来のメール認証では、同じ人物が複数のアドレスを使い分け、初回登録者限定の特典を何度も取得するような抜け道も生まれてしまう。さらに悪意あるユーザーであれば、偽アカウントを大量に作成し、各アカウントにAIで人格を持たせることも可能になりつつある。
その点、1人で複数取得することができない「World ID」は、実在する人間1人につき1回きりの公正なアクションを保証できるため、AI時代の新たな認証インフラとして広がりを見せている。



取得したWorld IDをマシンにかざし、1回限りの巨大ガチャを楽しむ景井ひなさん。
Orbで認証済みのWorld IDを取得すると、イベントの目玉となるガチャマシンのエリアへ。イベントを訪れた景井ひなさんも、特大ガチャの再現度に驚きを見せた。
「小さい頃から慣れ親しんできたガチャが、まさにそのまま大きくなった感じで、ハンドルを回すと“ガチャガチャ”という振動が手に伝わってきました。これが無料で楽しめるなんてすごいですよね」(景井ひな)
Orbを覗くだけで簡単に取得できる認証済みのWorld IDについても、その手軽さに思わず感心した様子。
「ChatGPTも最近使い始めたばかりで、AIの進化を正直そこまで実感できていなかったんですが、こんな簡単にリアルな人間の証明ができるんだと驚きました。AIが当たり前の時代になっていくんだなと改めて感じましたね。今日認証済のWorld IDを取得してみて、“私はもう持ってるんだよ”っていうちょっとした優越感というか、周りより一歩進んでるような気持ちにもなりました」(景井ひな)
安全かつクイックな認証で手に入れる、限定コラボバッグ

(左)クリーンなALLホワイトのコーディネートが印象的な草刈麻有さん。(中)秋場郁雄さんはWorld Bagを着こなしのアクセントに。(右)「丸みのあるフォルムと、ツヤのある質感が好み」とバッグを抱える景井ひなさん。
ガチャの景品は、ニューヨーク発デザイナーNik Bentel Studioとコラボレーションした「World Bag」。世界500個限定のレアなバッグを手にした来場者たちは、思い思いのスタイリングでイベントを満喫した。
「つるっとした質感と独特なフォルムが近未来的な感じで可愛い!」(草刈麻有)
「硬質で頑丈な素材が、安全性を誇るWorld IDのコンセプトともマッチしていて、中に入れたスマホや貴重品もしっかり守ってくれる安心感がありますね」(秋場郁雄)
「これバッグなの!?というのが第一印象。丸みがあって好みドンピシャな感じです。想像以上に開くので容量もたっぷりで、これを持つだけでおしゃれ上級者っぽくなれそうです」(景井ひな)

ガチャのカプセルに入っていたゴールドのメタルチャームに名前を刻印する才藤歩夢さん。
会場内には、バッグに付属するメタルチャームをカスタマイズできるコーナーも設置。イベントを訪れた才藤歩夢さんは、ひと通りガチャを楽しんだ後、自身の名前「AYUMU」の5文字をチャームに刻印。アルファベットや星、ハートなど好みのパーツを金槌で打ち込めば、誰でも簡単にオリジナルチャームが完成する。
バッグを自分好みにカスタマイズするプロセスは、AI時代においてWorldが大事に考えている“ヒューマニティ”の象徴とも言える体験。一人ひとりの個性を尊重するコンセプトとも重なり合う特設ブースとなっている。

ガチャで手に入れた限定World Bagを手にする才藤歩夢さん。
「カスタムして自分だけのオリジナルバッグにできるところも、唯一無二の人間を証明するWorld IDらしいなと思いました。巨大ガチャはインパクト抜群。到着した瞬間、目に飛び込んできて圧倒されました(笑)。小さなお子さんまで楽しめる賑やかなイベントで楽しかったです」(才藤歩夢)
代表が語る「World ID」への信頼と可能性
Worldを日本国内で推進しイベントを主催するグローバル?テクノロジー企業 Tools for Humanityの日本代表 牧野友衛さんに、World IDの強みと新たな展開について話を聞いた。
──?「World ID」はどのような仕組みで安全性を保っているのでしょうか??

Tools for Humanity 牧野友衛さん
従来は、アプリのサーバーに顧客情報をストックするのが一般的だったのに対し、World ID は一切の個人情報を保持せず、すべてのデータは本人のスマートフォン内に保存されます。そのため、ユーザーは自分の情報を完全に自分でコントロールすることができますし、サーバーには「登録済み」としか記録されません。昨今はAIの進化によってサイバー攻撃も巧妙化していますが、匿名性が守られているため情報流出を防ぐことができるんです。
──?デジタルネイティブであるZ世代に向けては、どのようにWorld IDの価値を届けたいですか?

Tools for Humanity 牧野友衛さん
新たな試みとして、マッチングアプリを展開するTinder Japanと連携し、World IDでプロフィール認証できる新機能をローンチ予定です。これにより“なりすまし”を排除できるので、ロマンス詐欺を防げます。さらには、生年月日を明かさずに18歳以上であることを証明できるので、プライバシーを守りつつ未成年の不正利用を防ぐことができます。AIが身近な世代であるからこそ、規制するのではなく「自由に使って、きちんと守る」ことが大事だと考えています。
──?今後、ファッションの分野ではどのような活用が期待できますか?

Tools for Humanity 牧野友衛さん
身近なところでは、転売を防ぐことです。オフラインでも、World IDのQRコードがあれば同じ人が何度も購入できないよう規制することができますし、ネット通販でもAIによる買い占めを防げれば、大量に“仕入れ”ができなくなりますからね。ファッション系のECサイトにおいても有効です。
日本独自のカルチャーであるガチャと、最新テクノロジーを融合させた今回のイベントには、性別?年齢?国籍を問わず多くの来場者が集い、大盛況の2日間となった。同イベントで生まれた最新テクノロジーとカルチャーの融合をきっかけに、World IDはさらに幅広い層へと認知を広げ、AI時代の恩恵を享受しながら安全に活用できる、より良い社会の実現を目指していく。









景井ひなさんはクラッシュ感のある濃淡デニムにレースタイツを合わせ、コントラストを効かせた着こなしに。
最終更新日:
text & edit: Urara Kurihara